「この本いいよ!」と言って妹から私と母宛てに送られてきた、シオリーヌ(大貫詩織)さんの『CHOICE 自分で選びとるための「性」の知識』。
本の帯にもありますが、シオリーヌさんは助産師・性教育YouTuberとして、性と生殖についての知識を伝える活動をされています↓
この本は、若い世代や子どもたちと接する大人に向けて「せめてこれだけは知っておいてほしい!」という、性の基礎知識を詰め込んだものだそう。
本の構成は、
第1章 性のギモン1 私たちのカラダって、実際どうなってるの?
第2章 性のギモン2 パートナーと安心しあえる関係性を築くには?
第3章 性のギモン3 「自分らしく生きる」ってどういうこと?
の3つに分かれています。
全体的に、具体例やイラスト、写真が多くて視覚的にわかりやすい工夫がなされているなと思いました。
「なんとなく選んでない? 毎月使う生理用品」の項目では、紙ナプキンやタンポンなどの6種類の生理用品を「使いやすさ」「快適さ」「コスパ」の三角形のチャートで評価したり、実物の写真や使い方の説明とともにメリットとデメリットを示したりして、生理用品の正しい使い方を紹介しています。
そして、プライベートゾーンやその洗い方、妊娠が起こる仕組み、避妊方法などもイラストを使って分かりやすく説明してあります。
読んでいていいなと思ったのが、第2章の「パートナーと安心しあえる関係性を築くには?」のところ。
私は4月から中学校で勤務する予定ですが、中学生は思春期真っただ中で不安定な一方、他者と交際する機会も増えてきます。「よりよいパートナーシップのためにお互いに何ができるか」ということは、自分自身と自分にとって大切な人を守るためには欠かせませんが、プライベートに関わることでもあるのでなかなか学校では扱えないことでもあります。
特に82ページからの性的同意の話は個人的にもとても参考になりました。
性的同意を考えるうえで大切にしたいポイントは以下の3つだそう。
①断っても大丈夫という環境があること
②対等な関係性であるということ
③一回の同意で、すべての行為に同意したことにはならないということ
そして、性的同意をえることにプレッシャーを感じている人に対するシオリーヌさんのコメントが素敵なのです。
実は性的同意をえるというのは、”今日の夕飯に食べたいもの”や”見に行きたい映画”を尋ねるということとたいして変わりません。
「キスしたいと思うんだけど、いい?」
「セックスしたい気持ちがあるんだけど、あなたはどう?」
といったように、まずは自分の気持ちを素直に伝えること。
それこそが相手を尊重したコミュニケーションではないかと感じます。
性的同意を確認する責任は、アクションを起こしたいと思った人にあります。
(中略)
相手とスキンシップを取りたいと願う気持ちにも、同意を確認しようとするアクションにも性別は関係ないということ。
相手と触れ合いたいと思う気持ちを素直に伝え、相手の意思を誠実に確認しようとする姿勢をとれる人は、どんな性別であってもとてもかっこいい人だと私は思います。(p.85~87)
実際にシオリーヌさんの性的同意に関する動画も見てみたのですが、「2人の間でキーワードを決めておく」など実際に役立つ情報が詰まっていました↓
また、第3章の「「自分らしく生きる」ってどういうこと?」では、心に響くフレーズがたくさんありました。
自立とは「一人きりですべてやれるようにならないといけない」ということではなく、「自分のサポーターを増やし、困ったときにサポートを求められる」ということです。(p.128)
恋愛経験の有無は、だれかの魅力を下げることにつながりません。
そして、恋人がいないということは、その人の魅力が低いことの証明にはなりません。(p.136)
あなたの身体にとって最も大切なのは、あなた自身が心地よく過ごせる身体であるかどうかです。(p.152)
誰かの外見を見た時に「綺麗だな」と思ったり、「自分の好みではない」と思ったり、心の中でどんな感想を抱いたとしてもそれは自由です。
でも、人の外見に対しての評価を言葉にして伝えることは、その人の一生を左右する可能性のある行為であることを忘れないでください。(p.157)
これらのフレーズが心に響くのは、私自身が中高生のとき、もっと言えば現在もジェンダーやルッキズムの呪縛に囚われているからなのかもしれません。
読み終わって、「中学生や高校生だった自分にこの本を贈れたらなぁ…」と思いました。
この本、学級文庫に置いておきたいと思いつつ、学習指導要領のいわゆる歯止め規定があるのでどうなんだろう…
なんてことを考えていたら、シオリーヌさんが歯止め規定についてラジオで話していました。7分くらいでサクッと聞けるのでよろしければぜひ↓