自ら明かりを燈せ

ここ最近SNSを眺めていると、瀧本哲史さんの『2020年6月30日にまたここで会おう』をシェアしている人が多く、気にはなっていたがそのままにしていた。

今日確認してみると、今日まで全文が無料公開されているとのことだったので、さっき慌てて読み始めた。

note.com

 (本はこちら↓)

note5ページにもわたる内容だったがグイグイと引き込まれ、あっという間に読み終わってしまった。

 

内容は多岐にわたるのだが、その中でも気になったことが2つ。

 

パラダイム・シフトは一気に起こるわけではない

パラダイム・シフト」とはトーマス・クーンという科学者が使い始めた言葉で、「それまでの常識が大きく覆り、新しい常識に切り替わる」ことを指す。

ガリレオが主張した天動説から地動説への大転換がその最たる例だが、このパラダイム・シフトは説得によるものでも論破によるものでもなく、「世代交代」でしかなかったそうだ。要するに、天動説を信じる古い学者が死んでしまったことで、少数派だった地動説の人が多数派に切り替わり、地動説が主流になる大転換が起こったのだという。

 

後から考えれば「あの時がパラダイムシフトだったんだな」となっても、実際は50年とか100年とか長い時間をかけて変わっていくものなのだと思う。

 

私が学んでいる『学び合い』もそうなのかなぁ、とふわっと考える。「子どもたちの一生涯の幸せを保障する教育」を実装する考え方・手段として、今のところ”一番まし”なのが『学び合い』だと思っている。ただ、『学び合い』は従来の教育とは大きく異なるため、「うさんくさいもの」と捉えられることも往々にしてある。

 

今後『学び合い』がパラダイム・シフトを起こすかもしれないが、それは旧来の教育にしがみつく人々がこの世からいなくなり、私たちのような若い世代が”一番まし”な選択をした結果そうなるのかも、と妄想したりもする。もちろん、すでに中堅・ベテランの先生方で『学び合い』を実践しているイノベーター・アリーアダプターの方もいらっしゃるし、『学び合い』以外の”一番まし”な考え方・手段がこの世に登場しているかもしれないけれど。

 

仲間は必ずいる

瀧本さんは「日本での旧世代と新世代の割合はだいたい2:1なので、若い新世代全員が話の分かってくれそうな旧世代を1人ずつ説得すれば政治は変わる」とおっしゃっていた。

「自分1人が投票したところで何も変わらないからあきらめる」のではなく「仲間は必ずいるから、仲間を探して増やしていく」ほうが、自分の人生を自分で生きているような気がする。

 

そして、仲間を増やしていくには目的が必要である。

「意見は違うけれど、ある目的のための行動には協力する」という考え方が必要なんです。

みんなの立場はそれぞれ違うから、全員を一つの意見に統一するのはむずかしい。でも、ある一つの重要事項に関しては、みんなが組むことで世の中を変えていくーーそういったマインドと仕組みが必要不可欠なんですね。

 

「子どもたちの幸せ」を願わない教師はいないと思う。その目的を実現するために、教師はさまざまな手法・考え方を用いる。

私はその目的の実現のために(今のところ)『学び合い』の考え方をもとにしようと思っているし、特に大学院にいる間に『学び合い』を実践する方、『学び合い』に共感する方など、さまざまな方とのつながりを作っておきたいと思って行動している。このブログもその行動の1つ(最近はあまり『学び合い』に言及していないけれど…)

 

 

瀧本さんは、仏教の「自燈明」を引用し、自ら考えて行動することの重要性を主張している。西川先生やゼミ生と対話し、議論すること然り、このブログ然り、外部の会に参加すること然り、「自ら明かりを燈す」行動をこれからも続けていきたい。