児童養護施設で暮らす子どもたちの進路について考えてみた話

厚生労働省が、児童養護施設を離れ自立した子どもたちの実態調査を行うことにしたそうだ。実態調査は初めてらしい。

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児童養護施設で暮らしている子どもは、原則18歳になったら自立が求められる。

しかしながら、進学や就職で退所した後、仕事が続かなかったり誰にも頼れずに孤立したりするケースが少なくないそうだ。

厚生労働省は3年前から、22歳まで施設にいることができたり、18歳で自立した後も支援を受けられたりするような仕組みを作ったが、その利用状況等も含め、どのようなニーズがあるかを探るために実態調査を行うらしい。

 

児童養護施設の存在自体は知っていたが、現場に出るまではどこか遠い存在だった。

18歳で退所を迫られることも知らなかった。

 

以前の講師先で、児童養護施設で暮らしながら学校に通ってきている生徒を教えたことがあり、その際に児童養護施設で暮らす子どもたちやその進路について目の当たりにすることになった。

 

その子は奨学金を申請するために、同時進行で600字くらいの申請理由書を2つ書いていた。その添削をお願いされたことがあり、添削しながらその子と話をした記憶がある。

施設での生活の話、進路の話、親の話…

そこには私の知らない世界が広がっていた。

 

その子は進学を希望していたが「18歳になったら施設を出なければならない」と言っていた。その時はまだ進路が確定していなかったので「卒業後どうするの?」という話をしたかどうか定かではないのだが、このニュースを目にして「今頃どうしているかな」とふと気になった。

 

18歳(高校卒業)で自立を迫られるというのは児童養護施設で暮らす子どもたちにとって酷なことではないかと思う。

 

高校まで実家暮らしだった私は、アパートを借りる際に保証人が必要であることを大学3年になるまで知らなかった。当たり前のことではあるのだが、学生の私には定期的な収入がなく、家賃を支払うあてを自力で確保するのはほぼ不可能だ。そのための保証人なのだが、もし両親が保証人になってくれなかったら、果たして誰が私のために保証人になってくれたのだろうと思う。

 

児童養護施設で暮らすのは、さまざまな事情があって親元を離れなければならなかった子どもたちも多い。親を頼ることはできない。親戚を頼れればまだいいのかもしれないが、それもなければ施設が”親代わり”のようになっているのではないかと思う。

 

高校卒業後、確たる収入源もないまま”親代わり”がなくなると孤立まっしぐらになってしまう気がする。

 

今回の実態調査によって、児童養護施設で暮らす子どもたちが自立して社会で幸せに暮らしていきやすくなるといいなと感じる。