"マスク売りの女"が感じる新規参入の難しさ

ここ数ヶ月、私は大学院生であると同時に(マッチ売りの少女ならぬ)"マスク売りの女"と化していた。

今までに売ったマスクの数は400枚を超える。

 

コロナウイルスの影響で不織布の使い捨てマスクが品薄になるのではないか

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そうだ、自分用に布マスクを作ろう!

手芸やってるから布ならいろいろあるし、ゴムも百均の細いヘアゴムで代用できる!

 

このように考えて行動に移したのが3月。

 

その後「布マスク作って直売所で売れば?」という母の提案を受けて作り始めたのだが、時すでに遅し。

私がそう考えるということは、まわりの人も同じことを考えているのである。

 

近くの手芸屋さんの店頭からマスクゴムが消えて「お一人様3メートルまで」になり、マスク作りに使えそうな布も減り、いくつかお店をはしごしても材料が手に入りにくくなった。

 

運のいいことに、我が家には使っていないさらしの布があり、細めのゴムもある程度はあったので、家中のものをかき集めれば比較的コンスタントに商品を出すことができた。

 

今回のマスク騒動で「新規参入は難しい」ということを実感した。

 

布マスクを売りたいなら「マスク品薄」の報道の前に先の展開を予測して、当面必要な材料を仕入れておかなければならない。

 

ブルーオーシャンはあっという間にレッドオーシャンになる。

 

また、レッドオーシャンになった後は、他との差別化でしのぎを削らなければならない。

 

一口にマスクといっても、通称アベノマスクのように単なる長方形のものもあれば、立体マスク、プリーツマスクもある。

 

私はミシンでカーブを縫うのが面倒だったので、立体マスクではなくプリーツマスクを選んだのだが、直売所にはあまりプリーツマスクが出ていなかったので、その選択が結果的に功を奏した。

 

マスクはまだ上記の3パターンくらいしかデザインがないからいいものの、これがマイバッグ等になると「色・柄」「デザイン」「大きさ」等々、考えなければならない要素が一気に増える。

 

また、売れなければ在庫を抱える恐れもある。

Amazonで注文したマスクゴムがいつまでたっても届かず、「おそらくこれはキャンセルだろうな」と思っていたら、1ヶ月後くらいに中国から50メートルものマスクゴムがいっきに届き、その時は「どうしよう」と頭を抱えた。

(幸い、今ではほとんど使い切れているからいいものの)

 

私は石橋を叩いて叩き壊すくらい慎重なタイプだが、商品開発に関してはそうも言っていられない。

 

事前のシミュレーションは大切だが、思い切って行動してみて、その反応をもとに少しずつ変化していくことが大切なのだと思う。

 

そして、複数のプロジェクトを同時に進めて、どれかがダメでも別の選択肢に注力できるよう柔軟にリスクヘッジしていくことが重要なのかもしれない。

 

何事においても。