『保健室経由、かねやま本館。』(松素めぐり)読了

図書委員長発案の学級文庫の本は、学校司書さんに選んでもらっています。

 

中学生向けのさまざまなジャンルの本をバランスよく選書してもらって助かっています。

 

今、私が担任するクラスに置いてある学級文庫の中で気になったのが、松素めぐりさんの『保健室経由、かねやま本館』。

中学生になるタイミングで新潟から東京に引っ越した佐藤まえみ(通称サーマ)が主人公のお話です。

 

登場人物と自分に共通点があるとなんとなく感情移入してのめり込んで読んでしまう気がします。

 

夢の東京生活だったはずなのに、兄の慈恵は突然不登校に。

 

そして、サーマも新潟では人気者だったのに、「サーマってなんかしんどい」と言われ、仲良しグループからはじかれてしまいます。

 

壁にぶつかったサーマが保健室の扉に手をかけようとしたとき、不思議な白衣のおばさん、銀山先生に呼ばれ、【第二保健室】で休むことに。その地下にあったのが、中学生限定の湯治場「かねやま本館」だったのです。

 

かねやま本館でお湯に入って休憩しながら、サーマは自分と向き合っていきます。

 

入るお湯は、人によって、入るときの心の状態によって違います。お話の中では「お湯に呼ばれる」と表現されています。

 

「疲れたとき、しんどいときは休んでもいいんだよ」というメッセージが伝わってくる、心がじんわり温かくなる作品でした。