『3万人の大学生が学んだ 恋愛で一番大切な”性”のはなし』(村瀬幸浩)読了

本屋さんでパっと目を引いたので思わず買ってきた『3万人の大学生が学んだ 恋愛で一番大切な”性”のはなし』。

著者は村瀬幸浩さんです。村瀬さんはフクチマミさんと『おうち性教育始めます 一番やさしい! 防犯・SEX・命の伝え方』という本を書いています。こちらもおすすめです。

『恋愛で一番大切な”性”のはなし』は、村瀬さんが講義で大学生に向けて「人間と性」をテーマに語った内容とそれに対する学生の声、意見、感想をまとめたものです。

 

講義の概略のあとにそれに関するリアルな学生の声が載っており、それを読むと人によって捉え方が大きく異なることがよくわかります。性については個々人の経験等による部分が大きいからなのかなぁと思います。

 

この本の中で特に印象に残ったことが2つあります。

 

1つは、愛と性体験の関係性についてです。

「愛しているから」「好きだから」「愛されているなら」といった感情が性体験への流れを作り出すことが多い一方で、そうした感情は相手への支配や強制、自己犠牲を生む可能性があると筆者は述べています。

 

愛というとらえどころのない言葉よりも、「納得」「同意」「安心」「安全」「快適」という言葉で、自分のからだやこころ、相手との関係を分析したらどうか、という筆者の考えには強く共感しました。

 

2つ目は、”らしさ”にとらわれることについてです。

「男らしい」「女らしい」という「らしさ」をめぐって悩むことは男女共通である一方で、その悩みの意味合いは大きく異なると筆者は主張します。

「男らしさ」を期待する言葉の裏には「女だったらそうでなくたっていいけれども」という、女性蔑視のメッセージが隠されているということです。したがって「男らしく生きる」ことを目指せば目指すほど、「女性を軽視する生き方になってしまいかねない」ことになります。

だってそうでしょう。「男だったら泣くな、愚痴るな」という言葉の裏には「女だったら仕方がないが」というメッセージが貼りついているのですから。(pp.60-61)

男らしさの裏には女性蔑視のメッセージがあるという視点は私にはなかったのですが、逆を考えれば納得がいきます。女性らしさと結びつきやすい「優しい」という言葉の裏には「男だったらそうでなくたっていいけれども」というメッセージはありません。男性にも優しさは求められますからね。

 

男一般、女一般と性別で画一的に決めつけてしまうのではなくて、自分自身、そして目の前にいる相手をよく見つめて、コミュニケ―ジョンをとっていくことで、よりよいパートナーシップが築けるのではないかなと思いました。