『シン・二ホン』(安宅和人著)読了

『シン・二ホン』を読んだ。

この本は、一言で言うと「データをもとに今後の日本や世界の未来について広範囲な領域の全体像をまとめたもの」。 

 

これほどの厚さの本は久しぶり。(右側が『シン・ニホン』)

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読みごたえもしっかり。

ただ、ゼミで西川先生が話していることと通じる部分もかなりあり、見た目のボリュームのわりにはサクッと読めた気がする。

 

扱っているテーマがあまりに広範なので、どうしても自分の興味・関心がある内容に目がいってしまうのだが、以下本の中で気になったことを記しておく。

 

①未来の方程式

筆者曰く、0から1を創造し未来を作り出すには

未来(商品・サービス)=課題(夢)×技術(Tech)×デザイン(Art)

が必要なのだそうだ。

技術はもちろん重要なのだが、それだけではなく、「こんな世界を生み出したい」というようなある種妄想のような夢、そして意匠だけに限らずシステム的な設計をも含めた、より幅広い意味のデザインが必須になってくる。

 

②女性とシニア層の伸びしろ

日本で女性管理職が少ないのは、女性が男性の二番手に甘んじなければならない現状を示すものであるが、その背景にはトップ高等教育機関の学生に占める女性比率の低さという根深い問題があると筆者は指摘する。

日本の各大学の女子学生比率について調べてみたら、以下のようなグラフを発見。

旧帝大クラスや早稲田・慶応等のいわゆる難関大学は軒並み40%以下である。

国会議員における東大、京大、早稲田、慶応出身者が占める割合がかなり大きいことを考えると、少なくともトップ大学における男女の割合が半々にならなければ、女性管理職は増えようがないだろう。

しかしながら、以前よりも男女平等やジェンダーに関する意識が向上している現在でさえ、「女子は(無理して)高等教育機関に進まずともよい」というようなヒドゥン・カリキュラムが存在しているように思う。

多様性が価値を生み出す未来において、ジェンダー平等は避けては通れない。筆者が提案するように、現在の「1男 2女」のような性別表記を改めるなど、システムを変えるところから始めるのはありだと思う。人の意識はなかなか変わらないから。

 

また、シニア層が「65年で有無を言わさず、原則すべてを伐採されている」というフレーズも心に刺さった。いつまで働くことができるのかというのは人によって大きく変わってくる。現在は「フルタイムor引退」の2択しかないようなものだが、シニア層が自身の勤労意欲や健康状態等に応じて、週に数回、一回数時間働くというようなさまざまな働き方ができるといいなと思う。

 

③狭き門より入り、人としての魅力を磨く

先を見通せない世の中、人々は”正解”を見つけたがり、多くの人が目指すものに飛びつきがちである。その方が安心だからだ。

しかし、脱工業化社会では人と異なること(異人化)が大切になってくるのだと思う。一つの軸だけで他者との差異を明確にするのは難しいかもしれないが、2つ、3つの軸を上手くマッシュアップすれば新たな価値を生み出すことができるかもしれない。

そして、人間社会で成功するには”人としての魅力(チャーム)”が欠かせない。

チャーミングな人でありたいと思う。