『ストーリーテラーのいる洋菓子店 月と私と甘い寓話』
久しぶりに何にもない土曜日です。
そして、久しぶりに”自分が楽しむための読書”をしました。
私はもともと本を読むのが好きなのですが、教員として働き始めてからはあまり本を読めていませんでした。
土日は半日部活があるか、部活がなくても家でYouTubeやアマプラを流しつつ泥のように眠り、気づいたらお昼または午後、なんてことが多かったのです。
最近、学校の図書室の本を借りては家で少しずつ読めるようになったので、少しは回復してきているのかな。
さてさて。
今日読んだのは『ストーリーテラーのいる洋菓子店 月と私と甘い寓話』。
”ストーリーテラー”というなじみのない言葉と、お菓子の話ということで思わず手に取ってしまいました。このところ週末には自分でお菓子を作っていたので、「この本にはどんなお菓子が出てくるのだろう」と読む前からワクワクしていました。
お話の舞台は、住宅地に凛とたたずむ洋菓子店。そこにはストーリーテラーと美しいシェフが、月の形をしたケーキとともにお客様の訪れを待っています。
ストーリーテラーとは、商品にメッセージ性やストーリー性を与え、受け手に価値のあるものとして伝える人のことを言うそうです。
洋菓子店「月と私」のストーリーテラー、語部九十九(かたりべ つくも)は深みのある艶やかな声でケーキの説明やそれにまつわる物語を語ります。
お店を訪れるお客さんは、どこか自分に自信がなかったり、秘密を抱えていたりするようなひとばかり。
「これは、私が月から聞いたお話です」というフレーズから始まる語部さんのお話は、お店を訪れた人の心を変えていきます。
この本には7つの短編が収められていて、それぞれの短編が互いに重なったりつながったりしています。7つのお話にはそれぞれ素敵なお菓子が出てきます。
レモンのグラスアローがかかったウィークエンドシトロン
アプリコットをしのばせたシャルロット
スポンジの間にラズベリージャムとクリームを重ねたレイヤーケーキ…
想像しただけで、ワクワクします。あぁ、食べてみたい…
もし私がお店に行ったら、どんなケーキが待っているのだろうか。
語部さんはどんなストーリーを語ってくれるのだろう。
「もし私が物語の登場人物だったら…」とあれこれ想像をふくらませることができるのが、小説を読む楽しさですよね。
みなさんも、心の中でストーリーテラーのいる洋菓子店「月と私」に行ってみませんか?