新任で『学び合い』をするとしたら気をつけたいこと

今年非常勤で働いていたとき、かなりお世話になったのが『みんなで取り組む『学び合い』入門』です。

壁にぶつかってしんどかったときは、これを見直していました。

 

この本には、初めて『学び合い』をする際におさえておきたいポイントがいっぱいつまっています。

 

でも、人は得てして調子のいいとき(もしくは無鉄砲なとき)は、本を読んでも自分に必要なことが目に入らないものです。そもそも、転ばぬ先の杖的に「本を読もう」という考えすら頭の中にないこともあります。

 

以下は、非常勤先でいきなり『学び合い』をやろうとして大失敗した私が学んだ教訓のようなものです。私は来年から中学校の先生になる予定ですが、運よく1年目から『学び合い』ができる環境だったり、数年働いて『学び合い』を始めたりするときは、これらを徹底したいと思っています。

 

①いきなりフルで『学び合い』をしない!まずは週1ペースで!

週の中で1時間だけ『学び合い』をするんだよ。

それでやる分には抵抗は少ない。(中略)徐々に増やすことだね。

その中で、今まで話したように、周りの人の理解を得て、分かりやすい成果、例えば、成績の結果を出せば増やせるよ。(中略)ただし偉そうに見えない程度にね。(p.93)

『学び合い』は現状最も”マシ”であるという考えが私の中にはあります。それはおそらく当分変わらないと思います。

 

ただ、それが「『学び合い』はよいものである」→「『学び合い』をやるべきだ」という方向にいくと、いきなり最初から全ての授業を『学び合い』でやってしまうというような暴走につながってしまう気がします。実際私は暴走して、私自身しんどい思いをしたし、生徒たちにもつらい思いをさせてしまいました。

 

『学び合い』は現状の学校教育の中では「変わっている」という目で見られます。そのことを頭の片隅でもいいので常に自覚しておかねばならないと思います。

 

人間は基本的に変化を好まないので、変わったことをすれば生徒や同僚、保護者から拒絶反応や反発が出ることは避けられません。

 

急激に変化するのではなく、自分もまわりも受け入れられるペースで進めていくことが大切なのだと思います。

 

 

②振り返りシートやアンケート…使えるものは何でも使って生徒の声に耳を傾ける

その子の話を聞いてあげることだよ。そして、出来ることは応えてあげよう。(p.40)

『学び合い』に対してのアンケートを定期的にやることだね。(p.41)

非常勤先で働き始めてすぐのころは、生徒たちとうまく人間関係を作れないまま『学び合い』をしていました。そのため、生徒たちの授業に対する不安や悩みは直接私のところには来ず、他の先生を通してやっと私の耳に入るという始末。

 

その後はなんとか生徒たちとの関係を築くことができたのですが、直接言いにくい場合に生徒が要望を伝える手段として、振り返りシートは大きな役割を果たすと感じました。

 

自分の授業に対する取り組みを言語化するというのももちろんですが、「コメント部分には何を書いてもいいよ」と言ってあったためか「黒板の文字が小さくて後ろからだと見づらいです」とか「プリントもう1枚ください」など、生徒たちからの要望がちょこちょこ出て来るようになりました。

改善できるものはすぐに改め、難しいことに関しては「なぜ難しいのか」とともに全体に対して語るというのを心がけました。

 

最後のアンケートにも「振り返りシートはひとりひとりとつながるよい手段になると思うので続けてください」という風に書いてきてくれた子がいたので、振り返りシートは続けていきたいと思いました。

 

 

③うまくいかないことがあったら”すぐに・素直に・率直に”謝る

信頼と放任は違うと本に書いてあった。「私は手を抜いているのではない、子どもを信頼しているんだ」と思っていた。でも、子どもは教師の心を写す鏡。放任していたんだね。思い起こせば、放任していた自分の行動が思い当たる。

(中略)

謝ることだよ。長々した言い訳なしに謝ること。教師にとっては辛いけど、言い訳がましく言えば子どもは本当に反省していないことを見透かしてしまう。(p.36)

『学び合い』は生徒に学びの主導権を委ねる時間が長いため、うまくいかないこともでてきます。というよりも、正直うまくいかないことだらけです。

 

そのときは、すぐに・素直に・率直に謝り、改善点や「こうなってほしい」という思いを手短に伝えるのが一番だと思います。

 

謝るのは勇気がいることです。私は最初大失敗して謝ろうと決めた日は、授業に向かう足取りが重かったです。心臓もバクバクでした。

それでも、やっぱりうまくいっていないのは自分の責任なので、謝るよりほかありません。

 

謝った後劇的に変わることもあるし、表面上はたいして変わらないように見えることもあると思います。ただ、「謝らないまま進んだ未来」よりもマシになっていることは確かです。

 

 

④『学び合い』に関係なく、生徒のこと・授業のことを相談できる同僚を見つける

同僚はあなたをどんな授業をしているかで判断しているのではなく、あなたがその人に接するとき、どんな行動をしているかで判断しているよ。(p.72)

特に、新たなことをしようとしている人は、まず、人として認められなければならない。それも高く評価されなければね。(p.73)

 生徒や授業のことについて普段から話したり相談したりできる同僚がいるかどうかはかなり重要だと思います。

 

私は『学び合い』の授業で大失敗したときに大学院の仲間や先輩に相談し、なんとか乗り越えることができました。本当に感謝しています。

 

ただ、その学校の空気感や不文律のようなものは同じ環境に身を置く者にしかわかりません。『学び合い』の「ま」の字を言っても言わなくても、生徒のことや授業のことを相談できる人が同僚の中にいると、精神的な負担はかなり軽くなるなと思います。

 

そして、自分の話を聞いてもらうには、自分がそれに足る人物であることを行動で示していかなければなりません。まずは日頃の挨拶を徹底するところから始めるといいと思います。