オンラインで短歌を鑑賞する模擬授業に参加した。
授業ではzoomとJamboardを使い、以下の流れで進んだ。
①次の4つの歌から各々好きな歌を選ぶ。
不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心(石川啄木)
思い切り愛されたくて駆けてゆく六月、サンダル、あじさいの花(俵万智)
白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ(若山牧水)
くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる(正岡子規)
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②ブレイクアウトルームに移動した後、同じ歌を選んだ人同士でグループを作り、なぜその短歌を選んだのか意見を共有する。出た意見はJamboardの付箋に残しておく。
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③短歌からイメージした画像を探し、Jamboardに貼りつける。
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④グループ内で選んだ画像とその理由を共有する。
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⑤Jamboardの他のグループのページに行って、付箋でコメントをつける。
私は2つ目の俵万智さんの歌を選んだ。
理由は単純だ。ひとつは、もともと万智さんの歌が好きだから。
そして、後半の「六月、サンダル、あじさいの花」と名詞をたたみかけているところが、前半の「駆けてゆく」とリンクして「走っている感」が出ているから。
そして、選んだ画像はこちら↓
画像を選ぶにあたって、短歌にある「駆けてゆく」のイメージは外せなかった。
あじさいが咲く中、石畳をサンダルを履いた女の子が駆けてゆく。
その視線の先には好きな相手の姿が。
・「愛されたい」なので、まだ恋人同士ではなくてその手前なのかな?
・「愛されたい」は前向きな意志を感じる言葉なので、雨が降っている場面は似合わなそう。雨上がりであじさいが濡れて美しく咲く中、女の子が相手の方へ走っていくイメージ。
・女の子はどんな格好をしているだろうか。少なくともサンダルが似合うような服装だろうな。ちょっとおてんばな感じ?
・ただ、あじさいには「無常」の花言葉があるので、あじさいにつきものの雨のイメージも相まって、この恋はもしかしたら上手くいかないかもしれない…
文学作品はどれもそうかもしれないけれど、読み手に想像の余地を残しておいてくれるのがいいところ。その”想像の余地”を画像で表現するのが難しかった。
同じグループの方の画像はどれも個性的。短歌から発想を飛ばして、リンクする内容の小説の表紙を持ってきたり、ハート形のあじさいの画像だったり、この歌のその後をイメージさせるものだったり。
同じ短歌を気に入ったとしても、一人一人見るポイントは違うし、感じ方も違うんだなと思った。だから鑑賞はおもしろい。しかしながら、「みんな違ってみんないい」では評価にならないので、評価のポイントをどう定めるのかが重要だし、そこが一番難しかったりする。
授業後の検討会(?)では、参加した方からさまざまな意見が寄せられた。
●「感情の言語化」を評価するならば、それを手元に残す手段があると良い(オフラインとの組み合わせが必要)
●画像を探す際に、どんなキーワードで調べたかもわかるようにすると、言葉の力がアップするのではないか
●検索して画像を選ぶことによって、イメージが膨らむ場合と限定される場合とがあるから、注意が必要
個人的には絵を描くのが苦手なので、画像が使えるのはとても助かった。画像があることでイメージがどんどん膨らんでゆくし、いくつかの画像を組み合わせて自分の頭の中にあるイメージを表現することもできる。
オンラインでの授業のイメージを持つことができたので、貴重な経験になった。
来週は対面での授業が始まるようなので、「オフラインで制限がある中での授業」が見てみたいなぁ、と心の中で勝手に思っている。(私も2週間後発表なんですけどね笑)