図書館でちくまプリマ―新書の棚を眺めていたら、いかにもおもしろそうなタイトルが目に入ってきた。
このところ実学書(?)中心だったので、小説を読むのは久しぶり。
「かのこちゃん」は女の子なんだろうけど、「マドレーヌ夫人」は誰なんだろう?
女の子と近所のすてきなおばさまのお話かなぁ、なんて思っていたら、「マドレーヌ夫人」はなんと猫だった!
だから、表紙に猫のイラストがあったのね。
このお話では、猫たちを中心とした動物の世界と人間の世界がいろいろなところで重なりながら描かれている。
マドレーヌ夫人は、雷雨の日にかのこちゃんのおうちにやってきて、かのこちゃんちで飼われていた老犬の玄三郎と”夫婦”になる。
このお話では、犬もしゃべるし猫もしゃべる。私は犬も猫も飼ったことがないのでよくわからないのだが、この両者は本来仲が悪いらしい。しかしながら、玄三郎とマドレーヌ夫人は仲良く一緒にいて、この”夫婦”の会話を見ているとほっこりする。
猫は気まぐれで人になつかない生き物というイメージがあるが、最後にマドレーヌ夫人はかのこちゃんのために、夫人にしかできない方法で恩返しをする。思いがけない展開なのだが、それは読んでみてのお楽しみ。
かのこちゃんとその”刎頚の友”のすずちゃんというキャラクターもまた、マドレーヌ夫人に負けず劣らず魅力的。
おそらく、2人ともその振る舞いは「変な子」のカテゴリーに入ってしまうのだろうが、発想がおもしろいのだ。小学校1年生ってすごいなと思う。
小説を読んでいると、さまざまな登場人物になりきってその追体験ができる。現実からつかの間離れることができるのが小説の魅力のひとつだと思う。