図書室の新刊の棚で、装丁に惹かれて手に取った、凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』。
給食を食べ終わったあとの残り5〜10分で読むので、なかなか読み進められなかったのですが、ぐいぐいと惹きつけられ、短い時間でページをめくる手が止まりませんでした。
瀬戸内の島で育った暁海と、恋に自由奔放な母に振り回されて島に引っ越してきた櫂。
高校生の二人はどちらも孤独と満たされないものを抱えており、互いに惹かれ合ったり、すれ違ったりしながら大人になっていきます。
暁海と櫂は親の存在に悩み、苦しみます。親なんか捨ててしまえばいいと思っても、簡単に切り離せないもどかしさ。
もしかしたら担任するクラスの生徒たちの中にも、暁海や櫂のような子がいるのかもしれません。
だとしても、私はそのしんどさを想像することしかできないし、卒業後も寄り添うことなどできません。
大学院時代の師が言うように、その子の業まで背負うことは教師にはできないのです。こちらが潰れてしまいます。
このお話には、暁海と櫂が通う高校の先生である北原先生がキーマンの一人として登場するのですが、北原先生のような寄り添い方は私にはできないなぁと思います。
北原先生の行動は、教師として正しいか正しくないかで言えばおそらく正しくないのでしょうが、暁海と櫂にとってはなくてはならない存在です。
読んでいくうちに心がかき回されてぐちゃぐちゃになるし、こんなに切ないお話は初めてでした。
それでも読まずにはいられない強さを持った作品だと感じました。
私は私なりに日々もがいていますが、中学卒業後も続くつながりを生徒たちが手に入れられるような環境を作れているかと問われれば、否。
卒業を間近に控えた3年生を見ていて、その思いはより強くなっています。