『主夫になってはじめてわかった主婦のこと』(中村シュフ)読了

最近はレコメンド機能のおかげで、検索履歴などをもとに一人一人に合わせた広告がでてきて、おすすめの商品を目にしやすくなっています。知らず知らずのうちに自分の趣味嗜好に沿ったものに囲まれがちです。

 

本も例外ではありません。Amazon楽天で本を買うと「これを買った人はこんな本も見ています」とおすすめが出てきて、ついつい似たようなジャンルの本を買ってしまったなんてことが起こり得ます。

 

目的がはっきりしていればネット検索は非常に便利なのですが、「ピンポイントで「これ!」と決まっているわけじゃないけど、こんな感じの本が読みたい」というときは、ネット検索だとあまりしっくりきません。

 

そんなときこそ図書館の出番!

小説、実用書、児童書などおおまかなくくりはあるものの、図書館にはいろいろな本が集まっています。特に今日返された本のコーナーはジャンルもばらばらな本が同じ場所に置いてあるので、意外な本との出会いがあります。

 

『主夫になってはじめてわかった主婦のこと』(中村シュフ)もそんな本のひとつ。

主夫になってはじめてわかった主婦のこと

主夫になってはじめてわかった主婦のこと

  • 作者:中村 シュフ
  • 発売日: 2015/04/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 作者は、日本唯一の”主夫芸人”、中村シュフさん。男子校出身の中村さんは家政科のある大学で家庭科と保健の教員免許を取得し、教員になるかと思いきや大学卒業後選んだのはお笑いの道。2006年にM-1の準決勝まで進出するものの2010年に解散し、結婚を機に家庭に入り現在2児のパパだそう。

↑経歴の時点ですでにおもしろそう。この部分のエピソードは序章に詳しく書いてあります。

 

芸人さんだけあって語り口は軽妙で、読んでいるとときどき「くすっ」と笑ってしまいます。その一方、主夫という立場から家事や育児、家庭の難しさや醍醐味などを丁寧に描写していて、思わずうんうんとうなずいてしまう「あるあるポイント」満載です。

「料理」に限らず「洗濯」「掃除」など、すべての家事に「流れ」は存在しています。このことを理解しているかどうかが、効果的なお手伝いをするためのポイントになってきますので、非シュフの方にはぜひ覚えておいてほしいですね。同じお手伝いをするなら、「余計なことしてんじゃねえよ!」と思われるより、「おっ、なかなかやるね」と思われた方が全然いいですから。(p.24-25)

洗濯物を、全体の量と種類を見ながら次々と物干しピンチにかけていき、最終的にその物干しピンチにすべての洗濯物が「ピッタリ」と収まり、そしてそのハンガーが左右バランスよく干せたりなんかすると、思わず小躍りしたくなるんですね。よっしゃあ!(p.47)

結婚している男友だちからは「家事やってるなんてすごいな、えらいよ」ってよく言われます。そんなとき僕は、「俺のことをすごいって思うその気持ちに『ありがとう』をつけて、自分の奥さんに伝えなよ」って言うようにしています。

だって男性だろうが女性だろうが、身近で家事を担ってくれる人は、同じく「すごい」わけで、だったら、その「すごい」ことをやってくれている人にはきちんと感謝しなくちゃいけないですからね。(p.151)

 

この本の中で一番いいなと思ったのは、終章の「世の中には「100%シュフの人」もいなければ「100%シュフじゃない人」もいないんです」というフレーズ。

どんな人間もひとつの要素だけでできているわけではない。世の中には「お金を稼ぐ」こと以外にも立派な役割がたくさんある。人間という生き物の中にはさまざまなチャネルが存在し、それらをTPOに合わせて選局することで、トータルの「自分」という像を結んでいる。すべての人が自分の中に「シュフ」というチャネルを持つことはとても自然なこと。

↑この中村さんの考え方は自分の中ですごくしっくりきました。

 

生きていく上で家事はなくてはならないものです。我が家も母と父と私でうまく家事を分担して日常生活をまわしています。各自が「シュフ」チャネルに切り替える割合に納得がいっているから、おうちで心地よく過ごせるのでしょう。

 

シュフについて改めて考えるきっかけをくれたこの本に感謝です。

 

中村シュフさんのブログはこちら↓

nakamurasyufu.jugem.jp

写真に添えられているコメントを見るとなんともほっこりした気分になります。

本もブログもおすすめです!