同じゼミの研究生の方から紹介していただいた一冊。
見切り発車的にインタビューを始めてしまったため、インタビューのやり方そのものはきちんと学んでいなかったなと思って読んでみた。
インタビューはただ聞いているだけではダメなことは感覚的にわかっていたけれど、相手の話を傾聴しているだけでも自分が必要とする情報が相手から出て来ないまま時間が過ぎていってしまう。
この本では、筆者が今まで自身がしてきたインタビューを振り返り、「聞き出すコツ」を事例をもとにわかりやすく言語化している。
インタビューを始める前に読んでおけばよかったなぁと思った。
この本の中で印象に残っているのは、「沈黙を尊重する」ということだ。
特に初対面の方とのインタビューでは、沈黙はちょっと怖い。
しばしば限られた時間のなかで多くのことを聞き出さなくてはならないために、どうしてもインタビュアーが多弁になり、追いたてるように聞いてしまう。そこで、インタビュー対象者の沈黙に出合うとうろたえ、回答をせかしてしまうことが多い。
この部分を読んで「あぁ、わかるー」と赤べこのごとく首を振りたくなった。
しかしながら、筆者は「沈黙は有効な情報である」とし、沈黙を”透明なボール”に例えて話を進めている。
フォーカス・グループ・インタビューが司会者と対象者、あるいは対象者同士のキャッチボールであったとすると、沈黙は透明ボールであると思えばいいのかもしれない。沈黙は決してキャッチボールへの参加拒否や中止ではない。
普通の発言を”色つきのボール”のようなものだとすると、沈黙は透明のボールと言える。インタビューが会話のキャッチボールだとすると、インタビュアーは透明のボールも受け止めなければならない。
”透明なボール”というたとえのおかげで、沈黙を受け止めることがすっとイメージできた。
この部分を読んでから、インタビュー中に沈黙が訪れても、むりやり追質問したりそれまでの発言を要約したりせずに相手の言葉を待つようになった。
あくまで言葉を紡ぐのは相手であり、インタビュアーはその言葉が出てきやすいような雰囲気を作ることが大切なのかなと思う。
筆者はさらに沈黙の意味するところを「躊躇の沈黙」や「遠慮の沈黙」など7つにタイプ分けしている。言われてみれば、ぱっと見同じ「沈黙」であっても、なぜ沈黙が訪れているのかは状況によって違う。
沈黙を受け止めるのが大切であること、沈黙には意味があることを知ることができたのが最大の収穫だった。
インタビューを始める前に読んでおけばよかったなぁ(2回目)