『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた ーあなたがあなたらしくいられるための29問』を読んでみた。
一橋大学社会学部の佐藤文香先生監修で、佐藤先生のゼミ生が書いたものである。
「ジェンダー」と言うと、とっつきにくいイメージがあるかもしれない。
だが、本の帯に「大学生の視点からのジェンダー「超」入門」と書いてあるだけあって、私のような初心者でも読みやすい内容、分量だった。
この本では、身近なところから浮かび上がるジェンダーの疑問をQ&A形式でまとめている。29の問いは、実際に佐藤先生やゼミ生が投げかけられてきた問いなのだそうだ。
・男女平等は大事だけど、身体の違いもあるし仕事の向き不向きはあるんじゃない
?
・子ども産めないのに、同性婚って必要あるの?
・フェミニズムって危険な思想なんでしょ?
・女性専用車両って男性への差別じゃない?
・性欲って本能でしょ、そのせいで男性が女性を襲うのも仕方ないよね?
↑これらは、本の中に出てくる問いの一部である。
私が普段疑問に思いつつ、なかなか答えが出なくてもやもやしていたことについて、一つの答えを手に入れることができた。
ただ、「はじめに」にもあるとおり、この本で示された回答は唯一の回答ではなく、これからもジェンダーに関する問いについて考え、自分なりの答えを作っていきたいなと思った。
また、Q&Aのアンサーの部分が「ホップ」「ステップ」「ジャンプ」と三段階になっており、自分のレベルに合わせて読めるところも素敵。
個人的には、最後のコラムに載っているこの一節が印象的だった。
「ジェンダーについて学んだあなたは、たとえこの先、自分の性のありかたのために悲しい思いや苦しい思いをしても、自分で自分を傷つけることなく自信を持って立つことができます。自分を縛りつけていたものに気がつき、そこから自分を解放することができます。おかしいのはあなたではなく、あなたを苦しめる社会のありかたなのだと胸をはることができます。」(p.190~191より引用)
特に「自分を縛りつけていたもの」という表現がしっくりきた。
この世に生きている人は皆、いろいろなものに縛られながら生きているのだろう。そして、その「縛られているもの」に気づかないまま、生きづらさを感じているのかもしれない。
自分を縛りつけているものに自覚的になることが、自分らしく生きることの第一歩なのかなぁ。
「女」「男」という単純すぎるカテゴリーに振り回されることなく、一人ひとりが生きやすい社会を作っていきたい。