私が普通科以外を選択していたらどうなっていたのかな

食べるものを作る人はかっこいいなぁと思います。

須藤靖貴さんの『3年7組食物調理科』は、通称「ショクチョウ」と呼ばれる家庭科の専門課程で学ぶ主人公の恵志とその仲間たちのお話。

 

ショクチョウでは卒業と同時に調理師免許を取得できます。卒業と同時にプロの料理人として扱われるため、指導はかなり厳しいのです。「調理に関しては完璧主義。100点満点をめざす」というのがショクチョウ生のプライドです。

 

ショクチョウの特徴の一つに、全員一致するまで話し合う「30‐0(サーティ・ラブ)」があります。別名「ショクチョウ・ギロン」もしくは「ギロン」。何を決めるにしても必ず反対意見があがるので時間がかかるのですが、ああでもないこうでもないと話し合うことで全員が納得してから物事に当たることができます。「中華料理食べ放題でどこのお店に行くか」「肉を炒めるときの油はサラダ油がいいかオリーブ油がいいか」「誰がどのメニューを作るか」…生徒たちは実にさまざまなことについて「ギロン」しています。

 

ショクチョウの生徒たちは実習で数十人分の料理を作ります。基本的に6人の班ごとに調理するのですが、1人のミスは班全体のミスになるので気が抜けません。実習中の描写からは緊迫感とともにショクチョウの生徒たちの本気度が伝わってきます。

 

このお話は、埼玉県立新座総合技術高等学校の食物科をモデルにしているようです。調べてみたら、食物調理科だけでなく、電子機械科や服飾デザイン科など6つの専門学科からなる高校のようです。

nsg-h.spec.ed.jp

高校の専門学科について知るたびに、「私が進路選択のときに普通科以外を選択していたらどうなっていたのだろう」と思います。

 

私はもともと教員になりたいと思っていたので、結果として普通科に進学したのは正解だったと思っています。

 

ただ、私の高校選びの決め手は「市内のトップ高なので勉強する環境が整っている」「制服がないので冬場にスカートをはく必要がない」というもので、自分の10年後・20年後・一生涯を見通した進路選択ができていたかというと答えは「NO」です。

 

しかしながら、今の生徒たちはそういうわけにはいきません。予測不能な社会で自身のキャリアを柔軟に選択し、必要に応じて他者と協働しながらたくましく生き抜いていかなければなりません。

 

そのために私はこれからの社会について知らなければならないし、生徒たちが進む先のことについて学び続けなければなりません。専門学科の高校について学ぶこともその一つ。

 

生徒たちが自らの進路について自分で考えるように種をまき、これからの社会の話をし、生徒たちの進路選択に寄り添うこと。

 

難しいことだけれど、教師としてやらなければならないことです。

 

そのためにもたくさん学ばないとだな。