働き始めると、なかなか本を読む時間を捻出できないことを痛感しています。
そんな中、空き時間を見つけてはちょっとずつ読み進めたのがこちら↓
教員として生徒と接する中で、知らず知らずのうちに”ずるい言葉”を発していたのではないかとドキッとする内容でした。
シーン㉓の「心の中で思ってるだけならいいんでしょ?」というフレーズは、私も指導の際に似たような言葉を使っていたなぁと反省しました。
中高生は思ったことをすぐに話す傾向があります。それを口にしたことでまわりがどう思うか、自分がまわりからどう見られるか、傷つく人がいないか、というようなことを考慮することなく、そのまま口に出してしまうのです。
それを見かけた際に、私はよく「心の中で何を思うかは自由だけど、それを口に出すとその言葉には責任が生じるよ。だから、それを言うかどうか事前に考えようね」と生徒たちに言っていました。要するに「本音を言うかどうかは、言う前に考えなさい」ということです。
この本の筆者は、本音と建前の関係について以下のように述べています。
感情的でもあり、未熟でもあり、欲求につき動かされもする私たち個人の本音などより、互いの権利を侵害せず節度を守ってやりとりするために人々がつくり上げた建前のほうがよほど大事なのです。(p.158)
そして、建前と本音が共存不可能な場合は、この本音を自ら疑ったり、正したりする以外に取る方法はないとのこと。
「心の中で思っているだけ」を厳格に守って人を傷つけないのももちろん大事ですが、「心の中でしか思っていてはいけない」ことをそもそも思わずにすむように自分をつくり変えていくことも大事だと、私は思います。(p.158)
この筆者の考えは私にはない視点だったので、「そういう考え方もあるのか…」と新鮮でした。
自分が他者の言葉にモヤっとしたときに立ち返ることができ、自分自身が”ずるい言葉”を発していないかどうか自戒の意味も込めて振り返ることもできるという点で、定期的に読み返したい本だなと思いました。