今日の授業中とてもうれしいことがあり、帰りの車の中で自然と笑みがこぼれ、にやにやがとまらなかった。
お昼ごろ非常勤先に着いたときは、特に今日このブログに書く内容が思いついていなかったので「かくなるうえは、「今日の夕飯にプッタネスカを作りました」とでも書こうかな」と思っていたのだが、そんなつまらないことは一瞬で吹っ飛んでいった。
今家に着いて、夕飯の支度そっちのけでこうしてブログを書いているくらいには興奮している。
生徒の言葉の力はすごい。
あるクラスで演習をしているときだった。
教室の後ろで机に突っ伏して寝ている生徒を私が起こしにいったとき、近くにいた生徒が、
「全員ができなきゃダメなんだよ。ほら、俺が教えてやるからさ」
とその起きた生徒に声を掛けていたのだ。
びっくりして、一瞬頭の中がフリーズしたのだが、すぐにうれしさがじわじわと込み上げてきた。
声を掛けた方の生徒は、私がどうしようもなくなって泣きそうになりながら語った日に、振り返りシートに、
俺たち(先に終わる組)が本気出せば、まわりもやるかもしれない
と書いてきてくれた子だった。彼は(きっと)このクラスのトップランナー。
私が自分の言葉で語ってきたことが、生徒の中に根付いて、自然と口に出るようになっていたのだ。今まで私なりに蒔いてきた種が芽を出しているという手ごたえを感じた。
これ以外にも、最近授業中寝てばかりの生徒で、今日の授業中に私が起こして声を掛けたとき「プリントありません」と言っていた生徒が、プリントを探し出して近くの生徒と一緒に課題をやり、終了間際に「先生、プリントありました!」とわざわざ教えてくれた。
ただ、全員達成とはならなかった。
そのクラスで終わりに語ったことが、
今日はうれしいことが1つと気になることが1つありました。うれしかったのは、課題を終わらせようと頑張って取り組んでくれた人が多かったこと。そして、特に「全員ができなきゃダメなんだよ」という言葉がみんなの中から出てきたのは本当にうれしかった。成長しているなと感じました。
気になったのは、「できない言い訳を探す前にやれることをやる」ということです。プリントなくすこともあるかもしれない。みんなの机の上とかロッカーの様子見てると、全員がきちんと物を管理できているとは思えないから。でも、「プリント忘れたから、なくしたからできません」で止まっているんじゃダメなんだよね。社会に出て、仕事に必要な道具忘れたりなくしたりして「道具ないからできません」って何もしなかったら、「こいつ仕事できねぇな」と思われて仕事回してもらえなくなるよ。下手すればクビだよ。でも、みんなにはそうなってほしくない。だから、そういうときにどうしたらいいか考えて行動してほしい。社会に出たら自分が困っているときに「困っている」とか「助けて」と声を上げなきゃ助けてもらえないんだから。みんなには考える頭があるし、もうみんな17~18年間生きてきてるんだからできるよね?
授業後そのクラスの振り返りシートを眺めていたら、起こしてもらっていた生徒が、
友達が起こしてくれたのでうれしかった
と書いていた。
また、別の生徒が、
社会に出る前にこういう勉強ができていいと思った
とコメントしてくれていた。
彼ら彼女らは高校卒業後すぐに就職する生徒も多い。特に今週は就職試験の面接が目白押しで公欠で教室がすかすかなんてこともある。
社会に出て働くことが目前に迫っている生徒たちに対して、私が伝えられることは何か。語りを考えるときは常にこのことを念頭に置いて考えている。
私が語った言葉が、授業中の経験が、少しでも生徒たちの心に刺さっているのなら、これに勝る喜びはないと思う。