「浅田家!」を観て、家族写真撮りたくなった話

ここのところ、週に1本ペースで映画を観ている。

たぶん、私が愛してやまない美術館に行くことができないので、そのかわりなのだろうと思う。

 

窮鼠はチーズの夢を見る」、「ブックスマート」、「ミッドナイトスワン」ときて、今日は「浅田家!」を観てきた。

asadake.jp

 

「浅田家!」は写真家である浅田政志さんの実話をもとにしている。映画にも出て来るのだが、父、母、兄、自分の家族4人を被写体とし、父がなりたかった消防士を皮切りに、極道やレーサーなど”家族のなりたかったもの”や”家族でやりたかったこと”をテーマに、全力でコスプレしてなりきった家族写真はユーモラスで微笑ましい。

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(↑公式サイトより)

 

映画は前半と後半で大きく印象が異なる。

 

前半は、二宮さん演じる浅田政志が家族写真を撮るようになった経緯や写真家として有名になっていく様子をユーモアたっぷりに描いている。

特に家族写真が次々映し出されるシーンは声を上げて笑ってしまった。ぜひ劇場で観てほしいなと思う。

 

後半は東日本大震災と絡めてストーリーが展開されていく。写真集「浅田家」を出版してから全国各地の家族写真を撮るようになった浅田さんは、最初に撮影した家族が被災したことを知り、岩手県に車でとんでいった。

岩手で津波により流され泥だらけになった写真を洗浄するボランティア活動をしている大学院生と出会い、それを手伝うようになる。

 

後半部分で特に印象に残っているのは、被災した男性が洗浄した写真を置いている小学校の教室に現れ、

行方不明になっていた娘が見つかった。家がすべて流されてしまったので、遺影にするための写真もない。だから探しに来た

と絞り出すように言うシーン。その男性は以前、写真を洗っている大学院生に「目障りだ!」とクレームをつけたことがあった。

震災によって家族を亡くした喪失感・やるせなさを他人にぶつけてしまう姿や、それでも娘のために写真を探したいという一心で、1枚1枚写真に目を通していく様子が胸に迫った。

 

「浅田家!」を観て、写真が持つ力を強く感じた。

 

我が家は「どうせ見ないから」と家族写真やビデオを撮らない主義で、私や妹の小さいころの写真でさえあまり残っていないような有様なのだが、久しぶりに家族で写真を撮りたいと思わせてくれるような作品だった。

 

個人的に、最初に出てきた「浅田家父が亡くなっているシーン」が最後にきれいに伏線回収されていたのがおもしろかった。

 

笑って泣けて、心温まる映画に久しぶりに出会えてよかったな。