東京女子医大が夏季一時金(ボーナス)を支給しないことを決定したため、看護師の退職希望が全体の2割の400人を超える事態になっているそうだ。
コロナウイルスの蔓延によって医療現場はひっ迫しており、いつ医療崩壊が起こってもおかしくない状況である。もしかしたら、すでに医療崩壊は起っているのかもしれない。
病院で働くことによって自身がコロナウイルスに感染するかもしれない不安、自分の家族に感染させてしまうかもしれないという恐れ、そして病院で働いていることによる周囲からの偏見…
さまざまな思いを抱えながらも最前線で必死で働いていらっしゃる医療従事者の方々に対し、経営が悪化しているからといってボーナスがカットされるというのはあんまりだと思う。「一時金」とはいえ、ボーナスを生計に組み込んでいる人がほとんどだろう。生活が立ち行かなくなってしまう。
twitterを見ていたら、看護師を辞めるという決断をされた方が「言葉よりも休みとお金がほしかった」と漏らしていたと知り、胸が痛んだ。
病院の経営が悪化することは想定できたはず。コロナウイルス蔓延という未曾有の危機に対して、病院側だけでは経営悪化を食い止められないなら、公的な補助が必要になってくる。
東京女子医大の労働組合は、夏期一時金の再検討を理事会に申し入れたそうだが、却下されたらしい。
「看護師の退職希望者が400人を超えると聞いたが、そのことについてどう考えるか」という労働組合の質問に対し、
深刻だとは思うが、足りなければ補充するしかない。現在はベッド稼動率が落ちているので、仮に400名が辞めても何とか回るのでは。最終的にベッド数に見合った看護師を補充すれば良いこと。(中略)今後の患者数の推移を見ながら、足りなければ補充すれば良いことだ。
と答えたという。
「補充」という言葉が目立つが、看護師は食糧や物資とは違う。
「補充」という言葉に、看護師は替えのきく存在であるという考えが透けて見える。
もはや代わりがいくらでもいる時代ではないのだ。
若い世代の人口はどんどん減っている。
鉱物資源等の乏しい日本において、人は何にも代えがたい資源のはず。
使い捨てれば資源はいずれ枯渇してしまう。
人を使い捨てるのではなく、皆が働きながら幸せに生きていける世の中にしたい。