「宅配便の人に気を使う人」を見て思ったこと

「宅配便の人に気を使う人」というのをTwitterで発見。

 いろいろな反響があるらしい。

 

「宅配便の人に気を使う人」を見て思い出したのが、数年前アパートで一人暮らしをしていた時に起こった出来事だった。

 

私は大学進学を機に寮やアパートでの一人暮らしを始めたのだが、それまでは実家に住んでいたため、家に自分以外の誰かしらがいるような状況で育った。しかも田舎育ちなので防犯意識も低かった。

 

ある日、”NHKの人”が訪ねてきた。たしか要件は「NHKを視聴しているかどうかの確認」だった気がする。

 

その当時私の部屋にテレビはなかった。そもそもテレビがないのだから、見ようにも見れない。

 

NHKは見ていません」とインターホンで伝えたのだが、「それでも確認しなければならないので」的なことを言われたため、私は「顔見て話せばわかってもらえるかな」というような安易な考えでオートロックを解除してしまった。

 

ピンポーンとチャイムが鳴る。ドアののぞき穴(?)から見てみたのだが、ドアのわきに立っているらしく姿はよく見えない。しかたないのでドアを少し開けたら、入ってこられそうになり、慌ててチェーンをかけて対応した。

 

「見ていなくてもテレビはありますよね?」

ワンセグでも見れますが」

などといろいろ言われた気がするが、「そもそもテレビを持っていない」「ワンセグが使えない携帯である」と繰り返し、何とか帰ってもらった記憶がある。

 

その後、NHKの受信料調査などについてちょっと調べてみたのだが、NHKをかたってアパートの部屋に侵入する手口があることを知り、ぞっとした。たしかにあのときは、「本当にNHKの人かどうか」を確認していなかった。数年前のことなので細部まではっきり覚えているわけではないが、怖かったことは今でも忘れられない。

 

この1件があってから、事前に宅配便が届くとわかっているとき以外は誰が来ようとまずはチェーンを掛けて対応するようになった。

 

 

また、先日Facebookで「引っ越しの時に隣の人に挨拶をしに行ったら驚かれた」という内容の投稿を目にした。

 

私は今までの人生でアパートの部屋に引っ越したことが2回あるが、どちらのときも隣人に挨拶はしなかった。もちろんその後エレベーターや玄関等で会えば会釈することはあったが、防犯のことを考えるとわざわざこちらから挨拶しにいかない方がいいかなと思ってのことだった。

 

「宅配便の人に気を使う人」もそうだし「引っ越した際に隣に挨拶するのか問題」もそうだが、SNS上の投稿を見ていて、自分の中で

”男性だからできることなんだろうな”

と思ってしまうフシはある。

 

最近は自己責任論が跋扈する世の中である。自衛していたとしても、何か起これば「対策が甘かったんじゃないのか」「自己責任だ」と叩く人が多い気がする。

 

女性の一人暮らしは男性のそれと比べて危険度は明らかに上がる。相手からどう思われようと自衛せざるをえない場面もあるはずだ。

 

私一人がこんなことを書いたところで社会は変わらないだろうけど、「自衛せざるを得ない人」が存在することを知ってもらえるだけでも少しは違うのかな、と思う。

 

日常のちょっとしたところにジェンダーの問題が潜んでいるのだ。