「先生によって態度を変えるな!」とはよく言うものの、生徒の方はいたって素直である。
頻繁に”吠える”ような怖い先生には表面上だけでも従うため授業が成立する一方、若手でそれほど怖くない先生には見下したような態度を取り、授業が崩壊してしまうこともある。
1年前の私はそのちょうど中間で、ぎりぎり授業崩壊しないところをさまよっていた。
「若い女性教員はなめられやすい。」
1年目のときに同じ科目を組んだ中堅の女性の先生に、真っ先に言われたことだ。
もともと男子校だったため、共学化した現在でも男子の人数の方が圧倒的に多かったからかもしれない。
その女性の先生は大学で講師をしていたため、圧倒的な教養と生徒がどんな話を振っても返せるほど豊富な知識・好奇心の持ち主だった。生徒からも人気が高い。
1年目の私にそんな能力はない。ただ、剣道と合気道の有段者だったため、男子生徒からはそこまでなめられずに済んだ。このときほど、武道をやっていてよかったと思ったことはない。
でも、”武道の有段者である”ことの効力はそう長くは続かない。それでも私がぎりぎり授業崩壊せずに講師をやってこれたのは、次の3つを徹底したからだ。
①最初に決めたことは1年間やり通す
「小テストの合格点は8割」
「提出物は、忘れた場合は必ずその旨言いにくること。そうでなければ容赦はしない」…etc.
最初に決めて生徒に伝えたルールは基本的に1年間やり通した。人間は楽な道に進みたがるので、例外を認めるとずるずると堕落していく。また、後出しはしないようにした。後出しは生徒に不信感を生みやすい。だから、4月の最初の授業が勝負だ。「後出しをしない」という点では『学び合い』の考え方と通ずるところはあったかもしれない。
②間違えたらすぐに謝罪する
教師も人間である。採点ミスとか提出物の期限を勘違いしていたとか、些細なミスを完全になくすのは難しい。だから、自分側に非がある場合は生徒に対してすぐに謝る。生徒に対しても、大人相手のときと同じように対応するのが基本的なスタンス。
③下の名前で呼ばせない
これは賛否両論あるかもしれないが、私は生徒には「○○(苗字)先生」と呼ぶことを徹底させた。同期の中には「□□ちゃん」と下の名前で呼ばれることを許している人もいたが、どうも性に合わなかった。生徒と馴れ合いの関係になりそうで受け付けなかったのだ。生徒と教員は立場が違う。馴れ合いになることだけは避けたかった。
上の3つを徹底したから、きついときでも授業崩壊せずになんとかやってこれたのだと今なら思う。
・これだけは譲れない、という一線を決め、それだけは何が何でも守る
・生徒に必要以上に近づきすぎず、馴れ合いの関係にならないようにする
↑これらを実践すれば、普段から怒鳴ったり叱りつけたりするような怖い先生ではなくても、十分指導はできると思う。